口で写真を撮る人がいます

業界の人でないと題名を見ても、何を言いたいか解らないと思います。


カメラマンは「出来上がった写真のクォリティで勝負する」と思っている人は多いと思います。


しかし、まったく別の方法で写真を撮るカメラマンがいます。

それは「その場の雰囲気を盛り上げて顧客を満足させる」人のことです。

まるで、エンターテイナーや大道芸とも通じるようなやり方ですので

これから写真を学ぼうとしている若い人には、割と煙たがられます。


主観ですが、こういった人は、お世辞でも写真が上手とは言えない人が多いので

若い人には、カメラマンと認め辛い面もあります。


「口で写真を撮る」とはクォリティ重視の人が使う「自分たちとは違う」という

主張や感情が含まれた否定的な意味を含んでいます。


しかし、そんなカメラマンでもクォリティで勝負する人には絶対負けないことがあります。


それは、写真を見せる前のお客様から感謝の言葉をいただくことです。

「楽しかった」や「また、お願いしたいです」など、通常は写真を納品してからお礼があると思いますが

それが、撮影が終わるとすぐに感謝されるのです。


また、写真を撮られることに慣れていない素人の方が被写体なら「口で写真を撮る」人は断然有利です。

プロのモデルさんなら、こちらが指示しなくてもシャッターを押すごとに違うポーズを決めてくれますが

素人の方は、それが出来ません。そして素人の方は楽しくないと笑いません。


これは、とても大事なことです。

どうしても「プロカメラマンです」と意識されると、一般の方は委縮します。

挨拶と簡単な打合せの後に、撮影を始めようとしても普段と違う状況に表情も引きつってしまいがちです。


しかし「口で写真を撮る」人は、まず仲良くなるところから始まります。

正に芸人と同じです。初対面から30秒が勝負です。


つまり、カメラマンは人物を撮る場合(プロかアマかによって)アプローチを変える必要があるのです。

言われると簡単に理解できることだと思いますが、意外と解っていない人も多いので

カメラマンを目指している人には、腕だけでなくトークを磨くこともおすすめします。